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為替相場の「常識」の変化(1)有事のドル買い
為替相場には「常識」あるいは「格言」のようなものがいくつもあります.
例えば「有事のドル買い」という言葉があります.
世界のどこかで戦争が起こったりすると,特にアメリカに関係なくても
為替市場ではドルが買われる傾向にありました.
こう言うと「私が知っているのは『有事のドル売り』だ」という方が
います.
実は旧ソ連が崩壊した頃から「有事のドル買い」の傾向が薄れ始め,
1991年のいわゆる「911テロ」でそれが決定的になったというのが
本当のところです(「有事のドル売り」という方は,それ以降に為替
に関心を持った方,とすぐわかります.).何かあったらアメリカに
財産を移して置けば安心だという「神話」が崩れるとともに,「有事」
に買う通貨がドルとは限らなくなっています.
そして統一通貨ユーロが原油の決済の一部をドルから奪いつつありま
す.しかその最近2年ほどの間に「有事のドル売り」の傾向が強まっ
たかと言うと,必ずしもそうではありません.世界中のどの国にも,
テロの脅威が忍び寄っている現在,米国金融市場の大きさと懐の深さ
は,やはり世界一魅力があることに変わりはありません.